地下駐車場は、地上にある駐車場やそれ以外の建物とは、消火設備の種類が違います。例えば、同じ地下駐車場でも自走式駐車場か機械式駐車場かで、設置が必要な消火設備の種類は変わってきます。
地下駐車場の安全を確保するためには、駐車場の種類や構造に応じた適切な消火設備の設置が大切です。
そこで今回は、地下駐車場に必要な消火設備の種類や特徴などについて解説します。
地下駐車場における火災リスクを最小限に抑えるために、ぜひ最後までご覧ください。
地下駐車場は構造上、消火設備の設置が特に重要な場所です。火災が発生した場合、閉鎖的で空気の流れが限られた地下空間では、火災の拡散が早まり、視界不良や高温により避難が困難になる可能性があります。
そのため、地下駐車場では特有の消火ニーズに応じた設備の導入が必要不可欠です。
また、地下駐車場は駐車構造が複雑であることが多く、機械式の駐車設備や複数階層にわたる駐車場構造も一般的です。このような地下駐車場では、火災が発生した際に被害が広がりやすいため、適切な種類の消火設備の設置が求められます。
地下駐車場では、火災の特性や環境に応じた消火設備の選定が重要です。消防法では、地下または2階以上の階で200㎡以上、1階で500㎡以上、屋上部分で300㎡以上の面積を有し、昇降機などの機械装置で車両を駐車する構造で収容台数が10台以上地下駐車場においては、以下のような種類のいずれかの消火設備設置が規定されています。
参考:総務省消防庁|3.2 地下駐車場等における消防用設備等
地下駐車場に適した主要な消火設備の種類とそれぞれの特徴について説明します。
地下駐車場に必要な消火設備に、水噴霧消火設備があります。水噴霧消火設備は、火災発生時に水を霧状で放出し、火元の温度を急速に下げて消火を行います。水噴霧消火設備は、スプリンクラーよりも細かい水を噴射するのが特徴です。
地下駐車場での火災は、煙や熱の影響が範囲を広げやすいため、効率的な冷却が可能な水噴霧方式の消火設備が有効です。水噴霧消火設備は、火災の進行を抑えると同時に、熱の放出を最小限に抑えるため、他の装置との連動も行いやすく、防災の観点からも優れています。
地下駐車場では、泡消火設備も重要な役割を担います。泡消火設備は、車両火災や油脂を含む可燃物の火災に効果を発揮する種類の消火設備です。この消火設備は、泡が火元を覆うことで酸素供給を遮断し、消火を迅速に進める仕組みとなっています。
地下の駐車場では、特にガソリンやオイルの火災が発生しやすいため、この泡消火設備が設置されることで、火災拡大のリスクが軽減されます。また、泡消火設備は常に人が出入りする、自走式駐車場に設置されることが多いです。
不活性ガス消火設備は、酸素濃度を急激に低下させ消火を行います。地下駐車場は構造上、換気が限られるため、不活性ガスを利用した消火が有効です。例えば、アルゴンや窒素などの不活性ガスを火災発生部分に放出することで、酸素が減少し、燃焼を抑える効果があります。
ガス消火装置は地下特有の空間構造にも適しており、普段人の出入りが少ない機械式駐車場などで使用されることが多いです。
地下駐車場に必要な消火設備の種類に、ハロゲン化物消火設備があります。ハロゲン化物消火設備は、電子機器などへの影響を最小限に抑えながら、迅速な消火を実現するために活用されます。
地下駐車場には機械式駐車設備が導入されているケースも多く、精密な機器や電装品を傷つけない消火方法が重要です。ハロゲン化物消火設備は、火災発生時にガスが火元に向かって迅速に放出され、周囲の機械部分や駐車設備を保護しつつ消火を行います。
粉末消火設備も、地下駐車場には欠かせない消火設備です。広範囲に粉末を放出し、火災発生部分を素早く抑制します。粉末は燃焼を遮断し、温度を下げるため、特に可燃性の高い物質が多い駐車場には適しています。
粉末消火設備は、屋上や1階部分に比べて閉鎖的な地下駐車場にも適しており、火災の種類を問わず速やかに対応可能です。粉末の放出により、火災が制御されることで、避難経路の安全確保にも貢献します。
地下駐車場は火災や事故のリスクが高いため、適切な防止策の導入が重要です。火災防止策の徹底や利用者・従業員への注意喚起、緊急時の避難手順の周知など、安全性を高める取り組みが求められます。
また、地下駐車場の構造や設置される消火設備の種類に応じた事故防止策の導入も不可欠です。ここでは、火災発生を未然に防ぐ方法や注意喚起の実施方法について詳しく説明していきます。
火災を未然に防ぐためには、地下駐車場内の設備の定期点検や、消火装置の適切な管理が欠かせません。特に、消防法に基づく防災基準に沿った対策を講じることで、万が一の際に迅速な対応が可能となります。ガスや電気設備の不備は火災の原因となるため、これらの部分も定期的な点検が必要です。
また、燃えやすい材料を使用しない、1階や2階の駐車スペースにおいては特に換気設備を整備するなど、構造に応じた対応も求められます。
安全性を確保するためには、従業員や利用者への注意喚起が必要です。特に地下駐車場では、構造上、火災や事故が起こると逃げ道が限られます。そのため、利用者に適切な避難
経路を理解してもらうのが望ましいです。
具体的には、案内板や放送装置を設置し、火災や緊急時の対応手順をわかりやすく周知しましょう。従業員には、設備の取り扱い方や消火装置の使用方法を定期的に訓練し、万が一の火災発生時に冷静に対応できる体制を整備します。
地下駐車場では、緊急時の避難方法を明確にし、利用者全員に徹底することが重要です。
もし、火災や他の緊急事態が発生した場合、速やかに避難するためには、あらかじめ避難ルートを決めておくことが大切です。
避難経路や1階への出口、屋上へ向かう階段の位置などを案内板で明示し、避難の際には従業員が適切に誘導する体制を整えます。また、機械式駐車場においては、車両の出庫が困難になるケースが多いため、利用者には非常時の対処法を事前に知らせておきましょう。
地下駐車場における消火設備は、消防基準に従い、建物の構造や特性に合わせたものを選ぶことが重要です。
具体的には、不活性ガスや泡消火装置など、地下駐車場の環境に適した種類の消火装置を設置しましょう。
基準に基づいた消火設備の設置と適切な管理が、安全な駐車場運営につながります。
火災リスクを最小限に抑えるため、定期的な点検と装置の適切な使用方法を確認し、安全対策を強化しましょう。
東報防災工業株式会社では、火災報知設備や防排煙設備、消火器など、多様な防災機器を取り扱っております。また、施設の防災対策において、最適な設備選定や設置のご提案も可能です。
防災に関するご相談やお見積りのご依頼は、お気軽にお問い合わせページよりご連絡ください。
お問い合わせはこちらから