防火設備の定期検査は、建築物に備えられた防火設備が、火災時に本来の機能を発揮できる状態かを確認するための制度です。
定期検査については、令和7年(2025年)に国土交通省告示の改正が行われ、検査項目や確認方法が整理・再構成されています。
改正内容を把握しないまま従来と同様の検査を行った場合、結果として法令に適合しない運用となる可能性があります。
本記事では、防火設備定期検査の法改正の背景や変更点などを、分かりやすく解説します。
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防火設備定期検査の法改正の背景には、建築物の高層化や用途の多様化により、設備の不具合が安全性に与える影響が大きくなってきたことがあります。
過去の火災事故などを契機として、防火設備の検査の必要性が強く認識され、防火設備定期検査制度が整備・強化されてきました。
こうした状況を踏まえ、国土交通省では、定期検査が実態に即したものとなるよう、検査項目や確認方法の見直しを進めました。
その結果、令和7年(2025年)に防火設備定期検査に関する制度が改正され、検査内容の明確化や確認範囲の整理が行われています。
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今回の告示改正では、防火設備定期検査を含む建築基準法第12条に基づく定期調査・定期検査全体について、実務の運用状況を踏まえた整理が行われています。
主な変更点は、以下のような内容です。
ここからは、実務に影響の大きな変更点について、順に整理していきます。
特定建築物定期調査、建築設備定期検査、昇降機等定期検査、防火設備定期検査の間で、検査項目の重複が見直されました。
それぞれの検査が担う役割が明確化され、防火設備定期検査では防火設備としての機能確認に重点が置かれています。
重複検査の解消により、防火設備定期検査の効率化が図られています。
常時閉鎖式防火扉については、これまで検査区分が分かりにくいという課題があり、今回の改正で位置付けが整理されています。
これまで常閉防火扉は、防火設備定期検査の対象外とされ、主に特定建築物定期調査において確認されていました。
改正後は、各階の主要な常閉防火扉について、定期検査の対象として追加されています。
定期検査の内容としては、運動エネルギー、本体および枠の劣化や損傷の状況、作動の状況、物品放置の有無、固定の有無などが確認項目とされています。
これにより、防火扉としての機能を直接確認する検査が、防火設備定期検査に集約される形となりました。
常閉防火扉の作動状況や劣化の有無については、防火設備定期検査で確認する項目として整理されています。
これに伴い、特定建築物定期調査では、図面と現地の整合確認を中心とした調査内容に整理されています。
ただし、特定行政庁の規則により例外的な取り扱いが設けられる場合があるため、事前確認が必要です。
今回の法改正では、定期調査・定期検査における調査・検査方法の合理化も図られています。
従来、「目視により確認する」とされていた検査方法について、新技術を活用した確認が可能となりました。
具体的には、赤外線装置、可視カメラ、各種センサーなどを用いた調査・検査が認められています。
また、非常用の照明装置については、自動検査機能を有する場合、非常点灯後の表示などにより確認できるとされています。
これにより、一定の条件下で、効率的かつ合理的な検査の実施が可能となりました。
防火設備定期検査に関しては、これまで構造基準と調査・検査基準との間に不整合が生じている部分がありました。
今回の改正では、防火扉等の危害防止装置の検査対象について、人が通行するために使われている場所に限ることが明確化されています。
これにより、構造基準で設置が求められていない箇所まで検査対象とする運用が見直されました。
また、構造基準では基準適合を求めていない内容については、調査・検査基準から削除されています。
定期検査後の報告や手続きに関する見直しも行われました。
防火設備定期検査報告書を含む各種報告書について、様式が改正されています。
また、報告書提出については、オンラインによる提出が拡大されました。これにより、従来の書面提出に比べ、手続きの効率化が図られています。
検査そのものだけでなく、報告業務を含めた実務全体の負担軽減が意識された改正といえます。
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防火設備定期検査に関する今回の見直しを受け、現場では従来以上に「検査対象の整理」と「対応手順の明確化」が重要となります。
ここでは、改正後の実務において特に押さえておきたい対応ポイントを整理します。
検査対象の事前整理が重要
常時閉鎖式防火扉の検査位置付けが整理されたことで、検査対象となる設備の範囲を正しく把握する必要があります。
従来の慣習的な判断ではなく、改正内容を踏まえて事前に検査対象を整理することで、確認漏れや過剰検査を防ぐことができます。
調査・検査方法は基準に沿って選択
調査・検査方法が整理・追加された点については、従来の方法との混在に注意が必要です。
現場ごとに適切な方法を選択し、基準に適合した手順で実施しているかを確認することが求められます。
記録・報告内容の見直しも必要
改正により、報告・手続きに関する考え方も整理されています。
検査結果の記録内容や報告書の記載方法についても、不足や誤解が生じないよう再確認しておくことが重要です。
社内共有と確認体制の整備
改正内容を個人の理解に留めず、社内で共有することも欠かせません。
検査手順や判断基準を整理し、確認フローを整備することで、現場対応のばらつきを防ぐことができます。
今回の法改正は、国土交通省告示として全国共通で示されていますが、実際の検査区分や運用については、特定行政庁ごとに異なる場合があります。
そのため、改正内容をそのまま一律に適用できないケースがある点に注意が必要です。
建築基準法第12条に基づく定期調査・定期検査では、告示改正により、特定行政庁が特定建築物定期調査に調査項目を付加することが可能とされています。
また、報告書の提出方法についても、オンライン提出を導入している地域と、引き続き書面提出を求めている地域があり、対応状況には差があります。
このように、改正後の実務上の取り扱いは、自治体ごとに判断が分かれる状況となっています。
実際に定期検査を実施する際には、建築物の所在地を管轄する特定行政庁の運用を必ず確認し、指示に従った検査および報告を行うことが重要です。
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今回は、令和7年の防火設備の定期検査の法改正に関してお話しました。
今後の定期検査では、国土交通省告示に沿った検査と報告を徹底し、建築物の防火安全性を維持していくことが重要です。
改正内容を正しく理解したうえで定期検査を実施しましょう。
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