パッケージ型消火設備は、消火に必要な設備が一体となった製品で、さまざまな建物に設置されています。パッケージ型消火設備は、屋内外を問わず設置できることが特徴で、特に共同住宅や店舗などでよく見る設備です。
今回は、そんなパッケージ型消火設備の点検が義務となっているのかをはじめ、点検の内容や頻度などを詳しく解説します。
画像引用:能美防災|パッケージ型消火設備
パッケージ型消火設備とは、火災が発生した際に、素早く消火を行うための消防用設備の一種で、消火に必要な装置が一体化された製品です。一般的に、加圧式の消火栓や放射機能を備えたものが多く、消火薬剤を収納する容器やホース、ノズルなどがセットになっています。
パッケージ型消火設備は、建物の構造上、通常の屋内消火栓の設置が難しい場所や、比較的小規模な防火対象物に適用されることが多いです。
また、パッケージ型消火設備には、泡や不活性ガスなどの消火薬剤を用いるタイプがあり、火災の種類や設置環境に応じて選択できます。
使い方が簡単で、1人でも使用できるという特徴もあります。
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パッケージ型消火設備は、定期的な点検が義務付けられています。
ここでは、パッケージ型消火設備の点検が求められる理由や、点検の頻度について詳しく解説します。
パッケージ型消火設備の点検が義務付けられている主な理由は、火災発生時に確実に使用できるようにするためです。
パッケージ型消火設備は、消火薬剤を収納する容器やホース、加圧装置など、複数の部品で構成されています。もし、部品のいずれかが劣化すると、正常に消火できなくなる可能性があります。
また、共同住宅や商業施設など、人が多く利用する建物では、設備の不具合が直接人命にかかわるため、定期的な点検が重要です。
消防法では、パッケージ型消火設備点検と報告の義務が規定されています。万が一、消防点検を怠り、火災時に消火設備が機能しなかった場合、管理者には法的責任が問われる可能性もあるため、適切な管理が求められます。
パッケージ型消火設備の点検は消防法に基づき、以下の頻度で実施する必要があります。
機器点検:6カ月に1回以上の点検
パッケージ型消火設備の機器点検は、6カ月に1回以上実施することが義務付けられています。機器点検では、主に設置場所の周囲の状況や扉の開閉、表示灯などが正常かを点検します。
総合点検:1年に1回以上の点検
パッケージ型消火設備の総合点検は、1年に1回以上行うことが義務付けられています。総合点検では、正常に消火剤の放射ができるかを点検します。
パッケージ型消火設備は、火災時に確実に消火機能を発揮するため、適切な点検が欠かせません。実際に点検を行う際は正しい手順を理解し、確実に実施することが重要です。
ここでは、パッケージ型消火設備の点検の流れ、具体的な点検項目について詳しく解説します。
パッケージ型消火設備の点検は、以下の手順で進めます。
パッケージ型消火設備の点検をするにあたり、設備の設置場所や種類を確認し、点検に必要な工具や点検表、点検報告書などを準備しましょう。
点検表などの必要書類は、以下のページよりダウンロードできます。
実際にパッケージ型消火設備の点検を行います。点検内容は、機器点検と総合点検で異なるため、対象となる点検に適合する内容を実施しましょう。
パッケージ型消火設備の点検時は、点検結果を記録します。点検後は、点検の記録を所轄の消防署に提出しなければならないためです。点検の際、異常が見つかったら必要な対応をしましょう。
パッケージ型消火設備の点検では、6カ月に一回以上の機器点検と1年に一回以上の総合点検が必要です。それぞれの点検の項目と内容について解説します。
パッケージ型消火設備の機器点検では、以下のような項目の点検を実施します。
パッケージの点検では、主に周囲の状況・外形・表示・表示灯を確認します。設備が容易に使用でき、設置環境が適切であるかを改めて確認するとともに、設備の外観に損傷などの異常がないか、操作方法などの表示が適正かもチェックします。
蓄圧式消火剤貯蔵容器等の点検では、貯蔵容器・安全装置・容器弁・バルブ類などに変形や損傷がないかを確認します。また、消火剤の量が規定量あることと、貯蔵タンクの蓄圧力も点検します。
加圧式消火剤貯蔵容器等の点検では、容器・容器弁・圧力調整器・指示圧力針の損傷や変形、値などをチェックします。また、消火剤やガス量もあわせて確認します。
起動装置の点検では、外形や表示に損傷や脱落などがないかを確認するとともに、操作がスムーズに行えるかを確認します。
ホース、ホースリールまたはホース架、ノズル並びにノズル開閉弁の点検では、ホースやホースリール・ホース架・ノズル・ノズル開閉弁の損傷や変形、ゆるみなどの異常がないかを確認します。ホースの引き出しや巻き戻しがスムーズに行われ、ホースが整然と収納されていることも併せて点検します。
パッケージ型消火設備の総合点検では、放射状況を確認します。
放射状況の点検は、ホースを手動で引き出し、ホースや開閉弁のノズルに異常がないかを調べます。実際に消火薬剤をホースから放出させて確認します。ホース接続部で消火薬剤の漏れがないかに加え、放射時間に異常がないかも確認するのが重要です。
さらに詳しい点検の内容については、下記のページも参考にしてみてください。
総務省消防庁|別添5 パッケージ型消火設備点検要領 1 機器点検
パッケージ型消火設備の点検を行う際は、正確な手順で実施することが重要です。点検のミスや不備があると、火災時に設備が正常に作動しない恐れがあるため、注意点をしっかり把握しておきましょう。
消防法では、パッケージ型消火設備の点検は、以下のような有資格によって実施されることが義務付けられています。
点検を無資格者が行うと、法令違反となるだけでなく、設備の不具合を見落とすリスクもあります。特に、パッケージ型消火設備は加圧装置や消火薬剤など、専門的な知識が必要なため、点検は必ず資格保有者が実施しましょう。
パッケージ型消火設備の点検作業中に事故を防ぐため、安全対策を十分に行いましょう。加圧装置や消火栓のテスト時には、不意の放射が起こる可能性があるため、作業者や周囲の安全を確保することが不可欠です。
屋内での点検では、消火薬剤が誤って飛散しないよう、養生シートを使用するなどの対策を行います。
また、高所に設置されたパッケージ型消火設備の点検を行う際は、適切な足場を確保し、転落防止策を徹底しましょう。
パッケージ型消火設備の点検結果の記録は、設備の管理やトラブル発生時の証拠として重要な役割を果たします。
記録には、消火薬剤の状態、ホースや容器の異常の有無、加圧装置などの動作確認結果などを詳細に記載します。
異常があった場合は必要な修理や交換を迅速に行い、点検結果を消防署に報告しましょう。
パッケージ型消火設備は、使用しなくても経年劣化が進むため、適切な頻度での点検が必要です。消防法では、半年ごとに機器点検、1年ごとに総合点検を行うことが定められています。
特に、消火薬剤の充填量やホースの劣化は放置すると消火能力に影響を及ぼすため、定期的な確認が欠かせません。万が一、設備の点検を怠ると、火災時に正常に作動せず、被害を拡大させる可能性があるため、点検の頻度を必ず守りましょう。
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パッケージ型消火設備は、火災発生時に迅速な初期消火を可能にする重要な消防用設備です。パッケージ型消火設備を適切に機能させるためには、定期的な点検が必要です。
安全な環境を維持するためにも、法令を遵守し、適切な点検とメンテナンスを継続しましょう。
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