幼稚園では、火災などの災害が発生した際に、多くの園児を安全かつ迅速に避難させなければなりません。
「幼稚園に避難器具は必要なのか」「どのような種類を設置すればよいのか」と疑問に感じている方もいるのではないでしょうか。
特に、園児は大人のように状況を判断したり、避難器具を一人で操作したりすることが難しいため、園児の年齢や施設の構造に合った避難設備を選ぶことが重要です。
この記事では、幼稚園に設置される避難器具の種類や消防法上の設置基準、設置・運用時の注意点を分かりやすく解説します。
幼稚園では、火災や地震などの災害が発生した際に、多くの園児を安全に避難させる必要があります。
特に、幼児は自分で状況を判断したり、避難器具を正しく使用したりすることが難しいため、施設側による十分な備えが重要です。
避難器具は、通常の避難経路が使用できなくなった場合などに、階段以外の経路から安全な場所へ避難するための設備です。
園児の安全を守るためには、施設の状況に適した避難器具を選び、適切に維持管理することが大切になります。
▼こちらもおすすめ
幼稚園における避難器具の設置基準は、消防法および消防法施行令によって定められており、建物の用途や階数、収容人員などによって設置の要否が決まります。
幼稚園は、消防法施行令別表第1の「(6)項ニ」に該当します。「(6)項ニ」は、幼稚園または特別支援学校を対象とする区分です。
ここでは、幼稚園における避難器具の設置基準について解説します。
消防法施行令第25条では、(6)項に該当する防火対象物について、避難階と11階以上の階を除く2階以上の階または地階で、収容人員が20人以上の場合、原則として避難器具を設置すると定めています。
また、下階に劇場や映画館、カラオケボックスなど、消防法施行令別表第1の(1)~(4)項、(9)項、(12)項イ、(13)項イ、(14)項または(15)項に該当する防火対象物がある場合は、基準が収容人員10人以上に引き下げられます。
幼稚園の場合、2階や3階に保育室などが設けられているか、その階の収容人員が基準に達しているかを確認することがポイントです。
収容人員は園児の在籍人数だけで判断するものではなく、消防法上の算定方法に基づいて、園児や職員などを含めて算出します。
なお、避難器具の設置要否は収容人員だけで決まるわけではありません。
建物の構造や階の用途、避難経路なども関係するため、最終的には施設の状況を踏まえて判断する必要があります。
(6)項に該当する防火対象物は、利用者が自力で避難することが難しい場合があるため、避難器具についても、階数に応じて設置できる種類が定められています。
幼稚園も、園児が自分で状況を判断したり、避難器具を操作したりするのが難しいため、より安全に避難できる設備を確保することが重要です。
そのため、避難器具は「設置できれば何でもよい」というわけではなく、施設の用途や階数に応じて、設置できる種類を確認する必要があります。
一方、幼稚園では、園児が避難器具を一人で操作することが難しいため、職員が補助しやすいか、園児が安全に降下できるかという視点も欠かせません。
避難器具は、建物の位置・構造・設備の状況から避難上支障がないと認められる場合、一定の条件のもとで設置個数を減らしたり、設置しなかったりできる場合があります。
また、そもそも収容人員が設置基準を下回る場合は、避難器具の設置対象となりません。
(6)項では、原則として収容人員20人以上で設置が必要となり、下階に一定の用途の防火対象物がある場合は10人以上が基準となります。
小規模な施設では収容人員が基準を下回る場合もありますが、実際の利用状況などを踏まえて適切に算定することが重要です。
なお、「2階に階段があるから避難器具は必要ない」と単純に判断することもできません。
建物の構造や各階の用途、収容人員、避難経路などを総合的に確認しましょう。
▼こちらもおすすめ
避難器具3階の設置は必要?基準・条件・種類と注意点をまとめて解説
幼稚園に設置される避難器具の種類は、建物の階数や構造、設置場所、利用する人の特性などを考慮して選択されます。
特に幼稚園では、園児が小さく、避難器具を自分で操作することが難しい場合があります。
そうした中で、幼稚園に設置されることが多い避難器具は、以下のようなものです。
各避難器具について解説します。
すべり台は、階上から地上へ避難する際に使用する避難器具で、幼稚園など、園児や幼児が利用する施設でも使用される器具です。
階段を使った避難が困難になった場合でも、すべりながら降下できるため、園児の避難を職員が補助しやすい器具の一つです。
ただし、設置には十分なスペースが必要であり、設置場所や降下先の安全確保について消防法の基準を満たす必要があります。
救助袋は、袋状の器具の内部を滑りながら降下する避難器具です。
幼稚園では、2階や3階部分から避難する設備として設置される場合があります。垂直式や斜降式などの種類があり、建物の高さや設置場所に応じて選択されます。
ただし、園児が使用方法を理解できるとは限らないため、職員による補助や事前の訓練が重要です。
避難橋は、建物と隣接する建物などを橋でつなぎ、階段などを使わずに別の建物や安全な場所へ移動するための避難器具です。
階段による避難が困難になった場合でも、別の建物や避難スペースへ移動できるため、火災時の避難経路を確保する設備として利用されます。
ただし、幼稚園では敷地内の配置や周辺建物との位置関係などに左右されるため、すべての施設で設置されるわけではありません。
特に2~3階建ての幼稚園では、すべり台や救助袋など、園児の避難を職員が補助しやすい器具が選択肢となります。避難橋は、周辺建物との位置関係など、設置条件が整っている場合に検討されます。
▼こちらもおすすめ
避難器具を11階以上では設置できない?種類や設置基準を解説!
幼稚園に避難器具を設置する際は、消防法の基準を満たすだけでなく、実際に利用する園児
の年齢や身体的な特徴を考慮することが重要です。
幼稚園で避難器具を設置する際に注意したいのは、以下のような点です。
各注意点を解説します。
幼稚園では、園児の年齢や発達段階に合わせた避難方法を事前に検討することが大切です。
たとえば、すべり台や救助袋などの避難器具を設置していても、園児だけで使用できるとは限りません。
職員が付き添って順番に避難させるのか、どの場所で補助するのかなど、具体的な手順を決めておく必要があります。
また、避難経路上に障害物がないか、緊急時に園児が集中して移動できるかを確認し、安全に避難できる環境を整えることが重要です。
避難器具は、設置しているだけでは、緊急時に十分な役割を果たせません。
火災などが発生した際に円滑に避難できるよう、職員が器具の操作方法や園児の誘導手順を把握しておくことが重要です。
特に幼稚園では、園児が避難器具を一人で操作するのが難しいため、どの職員が補助するのか、どの順番で避難させるのかなど、具体的な手順を決めておきましょう。
また、避難訓練を通じて、避難器具までの移動経路や周囲に障害物がないかも確認することが大切です。
避難器具は、設置後も定期的な点検やメンテナンスによって正常な状態を維持する必要があります。
長期間使用しない設備でも、金属部分の腐食や固定部品の劣化などが発生する可能性があります。
いざというときに使用できなければ、避難設備としての役割を果たせません。
一定の防火対象物では、消防設備士または消防設備点検資格者による点検が必要となるため、専門業者に依頼して適切に点検を実施しましょう。
不具合が見つかった場合は、早めに修繕することが重要です。
▼こちらもおすすめ
消防法|バルコニーに避難器具を設置する際の基準や器具の種類を解説
幼稚園に設置される避難器具の種類や設置基準などについて解説しました。
幼稚園に設置される避難器具には、すべり台や救助袋、避難橋などがあり、建物の構造や階数、利用する園児の年齢などを考慮して選ぶ必要があります。
特に幼稚園では、園児が自分で避難器具を操作することが難しいため、職員が安全に誘導できる設備や避難方法を整えることが重要です。
幼稚園の安全対策として避難器具を導入する際は、施設の状況に適した種類を選び、消防設備の専門業者や管轄の消防署へ相談しながら適切に設置・管理しましょう。
東報防災工業株式会社では、火災報知設備や防排煙設備、消火器など、多様な防災機器を取り扱っております。施設の防災対策において、最適な設備選定や設置のご提案も行っております。
防災に関するご相談やお見積りのご依頼は、お気軽にお問い合わせページよりご連絡ください。