誘導灯は、火災発生時などに安全な避難を促すために設置されますが、A級・B級・C級といった種類があることをご存じでしょうか?
中でもB級とC級の違いは、特に分かりにくいとされています。
本記事では、誘導灯の基本知識から、A級・B級・C級の違い、選び方や設置時の注意点までを解説します。
防災対策を行ううえで重要な内容なので、ぜひ最後までご覧ください。
誘導灯とは、建物内で災害や火災などの非常時に、人々を安全に避難させるための光の案内標識です。
「非常口のマーク」としても、よく知られているでしょう。
通常は天井や壁に設置されており、非常口や通路を照らして、避難経路を視覚的に示します。
この照明器具は、停電時にも機能するようバッテリーを内蔵しており、電源が切れても一定時間点灯を維持します。
建物の規模や構造、避難経路の長さや形状によって、設置する器具の種類や数も異なるため、適切な機器選定が必要です。
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誘導灯の名称とその特徴を解説!正しい選び方や設置ポイントとは?
誘導灯は、建築基準法および消防法に基づいて設置が義務づけられています。
設置場所の条件に応じて「A級」「B級」「C級」の3タイプに区分されています。
これらの分類は、照明の明るさ(輝度)や表示板のサイズ、視認可能な距離などによって定められており、建物の構造や避難経路の長さに応じて使い分けるのです。
A級誘導灯は、表示面積が0.4㎡以上で、B級・C級と比べて最も大きいのが特徴です。
有効範囲は、避難方向を示すシンボルマーク(矢印)がない場合は、避難口誘導灯では60メートルが求められますが、方向を示すシンボルが加わると40メートルです。一方、通路誘導灯では20メートルとなっています。
A級誘導灯は、広い空間や大規模施設での使用を前提としています。
そのため、高層ビルや大型ショッピングモール、劇場など、多数の人が集まり避難距離も長くなる場所に必要とされる設備です。
B級誘導灯は、表示面積が0.2㎡以上0.4㎡未満となっています。
シンボルがない場合、避難口誘導灯の有効範囲は30メートル、シンボルがある場合は約20メートルです。一方、通路誘導灯は15メートルです。
また、B級誘導灯の場合、設置の高さや輝度でさらに細かく「BL形」と「BH形」に分類されます。
具体的には、BH形は避難口誘導灯が20cd(カンデラ)以上、通路誘導灯が25cd以上の明るさが基準になっています。一方、BL形は避難口誘導灯で10cd以上、通路誘導灯で13cd以上です。
BL形は、小規模な事務所やクリニックなどで、BH形は、地下街やカラオケボックス、飲食店、商業施設などで設置されています。
C級誘導灯は、表示面積が0.1㎡以上0.2㎡未満で、誘導灯の中で最も小型です。
有効範囲はそれぞれ、避難口誘導灯が15メートル、通路誘導灯が10メートルとされ、比較的狭い通路や小規模な施設に設置されます。
C級誘導灯は、マンションや事務所内の避難経路などで活用されています。
このように、A級・B級・C級は、避難距離や空間の広さに応じて使い分けることが大切です。
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誘導灯は使用環境に適した等級を選ぶことが重要であり、ただ設置するだけでは不十分です。
誘導灯を選ぶ際は、以下のような点を確認しましょう。
選び方について、具体的に解説します。
誘導灯は、「A級」「B級(BL形・BH形)」「C級」といった等級ごとに視認できる距離が異なります。
これは避難の際に、どのくらい離れた位置からでも誘導灯を確認できるかを基準にして、分類されています。
たとえば、地下街やアリーナなどでは視認距離60m以上のA級誘導灯が必要とされる一方、小規模な事務所内や住宅の共用部などではC級で十分です。
通路や階段の長さ、避難口の位置を踏まえ、各エリアに合った種類を選ぶことが重要です。
誘導灯を設置する空間の広さや天井高・通路の形状など、環境に応じた選定も大切です。
たとえば、曲がり角や視界が悪くなりやすい通路では、表示が見えにくくなるため、B級の中でもBL形のように、やや広範囲に対応した誘導灯が効果的です。
また、階段や吹き抜けなど高低差のある場所では、光が届く角度や視認性も考慮する必要があります。
建物用途(学校・病院・店舗など)によっても基準が異なるため、使用目的に応じた適切な誘導灯を選びましょう。
誘導灯は防災設備として、消防法や建築基準法に適合していることが必須です。
これらの法律では、建物の用途や面積、階数、収容人員などによって、どの等級の誘導灯を何台設置すべきかが定められています。
法令に違反した誘導灯を設置すると、是正命令などの対象となることもあるため、施工前の確認が非常に重要です。
設置の必要台数などに迷った際は、専門の電気工事業者や防災設備会社に相談するのがおすすめです。
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避難時に誘導灯を確実に機能させるためには、設置方法や工事内容、法令への適合など、細かい配慮が必要です。
ここでは、誘導灯を設置するうえで押さえておきたい、実務的なポイントを解説します。
誘導灯は、ただ壁や天井に取り付ければ良いというものではなく、避難方向が直感的に理解できる位置に設置することが非常に重要です。
たとえば、出入口や階段、曲がり角、避難経路の途中など、進行方向の判断が必要となる箇所には、特に明確な表示が求められます。
視線の高さにも配慮し、避難時に見やすい場所を選定することが基本です。壁面取付型と天井吊下型のどちらを使うかは、空間のレイアウトや視認性で判断しましょう。
誘導灯は、年に2回の点検が法律で義務付けられている防災設備です。
点灯状態や表示面の汚れ、バッテリーの劣化、照度の低下などは避難時に致命的な問題となるため、消防設備点検の際にしっかり確認する必要があります。
点検後は結果を記録し、管理しましょう。LED誘導灯であっても、バッテリーは数年ごとに交換が必要です。
正常に誘導灯を機能させるためにも、定期点検の徹底とメンテナンス体制の整備が不可欠です。
誘導灯には、「通路誘導灯」「避難口誘導灯」といった種類があり、表示内容や矢印の方向が明確に定められています。
たとえば、通路途中の誘導灯の矢印が逆向きになるなど、表示が実際の出口と異なる場所に設置されていると混乱の原因になります。
設置前には建物全体の避難経路を再確認し、最終的なチェックとして表示の整合性も確認しましょう。
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マンションに必要な避難器具と設置義務に関する疑問を徹底解説!
誘導灯の基本から、A級・B級・C級の違いや特徴などについてお話しました。
誘導灯は、建物内で安全かつ迅速に避難するために欠かせない防災設備です。
A級・B級・C級といった区分は、設置場所や用途に応じた選定の指針となり、それぞれに消防法で定められた基準があります。
適切な等級誘導灯を選ぶことに加え、設置位置、配線工事、点検体制など実務的な観点からの配慮も不可欠です。
東報防災工業株式会社では、火災報知設備や防排煙設備、消火器など、多様な防災機器を取り扱っております。施設の防災対策において、最適な設備選定や設置のご提案も行っております。
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