非常事態の際、安全に避難するために欠かせないのが「誘導灯」です。誘導灯にはいくつか種類があり、それぞれ名称があることはご存知でしょうか。
誘導灯は、名称や種類によって役割や設置場所が異なり、施設の防災対策において重要な役割をはたしています。
本記事では、誘導灯の名称やそれぞれの特徴、設置に関するポイントなどについて、詳しく解説します。安全で信頼性の高い防災環境を整えるために、参考にしてみてください。
誘導灯は、火災や停電などの非常時に避難経路を明確に示すための防災設備です。誘導灯を設置することで避難者が混乱せず、安全に避難口へと導きます。
主に非常口や通路の方向を示すパネルが本体に取り付けられた照明装置で、施設の種類や規模に応じた設置基準が消防法で定められています。
最近では、LEDを使用したタイプの誘導灯が多く、長寿命かつ省エネなのが特徴です。誘導灯の設置場所の環境に合うよう、さまざまな種類があります。
誘導灯には、設置場所や用途に応じてさまざまな名称と種類が存在します。本章では、代表的な誘導灯の名称と特徴を解説します。
誘導灯の名称は、以下のようなものです。
それぞれの誘導灯の名称ごとに特徴を説明します。
非常口誘導灯は、避難口や出口の位置を示すために設置される誘導灯であり、避難者の安全な誘導を目的としています。
本体に取り付けられたパネルには、緑地に白で描かれた「出口」や人が走るマークが表示され、通路の方向を直感的に伝えます。特に誘導標識付きのタイプは、出口表示に加え、避難経路や方向を案内する機能を持ち、広い施設や複雑な構造の建物で有効です。
通路誘導灯は、避難経路を明示するために通路や階段に設置されます。特に、避難方向を矢印やマークで示す仕様が一般的です。設置場所によってB級やA級といった種類があり、これらは明るさや視認性の基準による違いを持ちます。火災時や停電時でも点灯を維持する必要があり、定期的な点検と交換が求められます。
画像引用:Panasonic|電気・建築設備照明器具施設用照明器具LED誘導灯電源別置形 一般型
客席誘導灯は、劇場や映画館など観客が集まる施設に設置される誘導灯です。避難時に観客が安全に通路や出口を見つけられるよう、サポートします。
主に座席周辺などに設置され、薄暗い環境でも安全に避難できるよう、足元を照らします。ほかの誘導灯とは違い、シンプルな白い箱型で、本体に矢印やマークなどが表示されていないのが特徴です。消防法に基づき設置が義務付けられており、火災時や停電時でも点灯を維持します。
階段誘導灯は、避難経路の中でも特に事故が発生しやすいとされる、階段での安全を確保するために設置される誘導灯です。
本体には方向を示すパネルなどは装備されていません。緊急時に避難者がスムーズに階段を使用できるよう、足元を照らすために設置されます。消防法に基づいて、多くの施設で設置が義務付けられ、火災や停電時でも点灯するよう、非常用電源が備えられています。
誘導灯の設置基準は、主に消防法や建築基準法によって定められており、施設の種類や用途に応じて細かい要件が規定されています。
本章では、誘導灯の設置に関するポイントを解説します。
誘導灯を設置する際に確認したいのは、以下のようなことです。
それぞれのポイントについて解説します。
誘導灯は、不特定多数の人が利用する施設や、広い面積を持つ建物に設置が義務付けられています。具体的には、病院・学校・劇場・ホテル・商業施設などです。
これらの施設では、避難経路の確保が防災計画の一環として重要であり、消防法によって適切な種類の誘導灯を設置することが求められます。
誘導灯の設置位置は、避難経路を明確に示すために、出入口や階段・通路の方向転換点などに配置することが義務付けられています。
これにより、避難者が非常時に迷うことなく行動可能です。
設置する数量は施設の広さや構造に応じて決まりますが、例えば通路が長い場合には視認性を確保するために、一定間隔で設置する必要があります。
誘導灯は、消防法に基づく設置要件が定められています。
消防法では、誘導灯に一定の視認性を持たせるため、明るさや表示内容に基準が設けられているのです。パネルには避難方向を示す矢印が明示され、本体にはLEDを使用した高い照明性能が求められます。
さらに、停電時でも一定時間、点灯を続けられる蓄電機能が必要です。
誘導灯は設置後の維持管理が法的に義務付けられています。定期的な点検を行い、不具合が見つかった場合は速やかに交換しましょう。
消防法では、年1回以上の点検が義務付けられており、施設の管理者がその責任を負います。特にLED誘導灯は長寿命ですが、故障や汚れによる視認性の低下に注意が必要です。
施設の種類や用途に応じた基準を守り、定期的なメンテナンスを行うことで、安全な避難環境を維持しましょう。
誘導灯を適切に選ぶことは、避難経路の安全性を確保し、防災体制を強化するうえで重要です。本章では、施設や状況に合った誘導灯を選ぶ際のポイントを解説します。
誘導灯を選ぶ際は、以下のポイントを確認しましょう。
それぞれのポイントについて、簡単に解説します。
誘導灯には、「非常口誘導灯」や「通路誘導灯」「客席誘導灯」など、名称ごとに異なる用途と設置基準が定められています。
例えば、避難方向を示す通路誘導灯は通路や階段に、非常口誘導灯は出口や扉付近に設置されるのが一般的です。
施設の規模や構造に応じて適切な種類を選びましょう。
誘導灯の設置基準は消防法によって、詳細に規定されています。非常口誘導灯など、誘導灯の名称に合った場所に設置するのはもちろん、施設の面積や避難経路の長さに応じても適切な誘導灯が変わってくるのです。
また、設置場所ごとに明るさや視認性の違いを考慮する必要があります。基準を満たす製品を選ぶことで、法的要件をクリアできます。
誘導灯を設置する場所の環境も、重要な要素です。
例えば、湿気が多い場所(プールなど)や高温の環境(サウナ)には、防水性能や高温環境に対応した誘導灯を選ぶ必要があります。
また、通路の方向を示す矢印付きパネルや、多層階の施設には直通表示付きの本体など、設置場所に応じて選定しましょう。
誘導灯は定期的な点検や交換が必要です。誘導灯の電池は、4〜6年で寿命を迎えるともいわれています。施設の管理コストを抑えるためにも、設置後のメンテナンス性が高い製品を選ぶといいでしょう。本体の取り外しが容易なものや、パネル部分が交換可能なタイプが便利です。
適切な誘導灯を選ぶことで、避難経路の安全性を高め、消防法に準拠した防災対策が可能になります。施設の特性や用途に応じて、最適な製品を選定しましょう。
今回は、誘導灯の名称やその特徴・設置のポイント・適切な誘導灯の選び方について、お話しました。誘導灯は、非常時の避難を安全かつ迅速に行うために欠かせない防災設備です。その名称や種類は、設置場所や用途に応じて異なり、通路や非常口の方向を的確に示すことで、避難者をサポートします。
今回ご紹介した内容を参考に、施設の特徴や用途に合った誘導灯を選び、もしものときに備えましょう。
東報防災工業株式会社では、火災報知設備や防排煙設備・消火器など、多様な防災機器を取り扱っております。施設の防災対策において、最適な設備選定や設置のご提案も行っております。
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