BLOG

記事

TOP » ブログ投稿 » お役立ちコラム » 防火設備と特定防火設備の違いを解説!設置場所に合う設備を選ぶには

防火設備と特定防火設備の違いを解説!設置場所に合う設備を選ぶには

2025年11月03日

防火設備は、厳密に言うと「防火設備」と「特定防火設備」の2種類に分類されますが、その違いをご存じでしょうか。

 

どちらも火災による建物の延焼を防ぎ、人命や財産を守るために設置される重要な設備ですが、その役割や性能、設置される部分には明確な違いがあります。

 

本記事では、防火設備と特定防火設備の違いを整理し、設置場所に応じた適切な選び方を解説します。

 

防火設備と特定防火設備の概要

防火設備 特定防火設備 違い

建物の安全を守るうえで欠かせないのが「防火設備」と「特定防火設備」です。ここでは、防火設備と特定防火設備、それぞれの基本的な特徴を解説します。

 

防火設備の定義と役割

防火設備とは、火災が発生した際に炎や煙が建物内外に広がるのを抑えるために設けられる設備のことです。  

 

建築基準法に基づき、火が延焼する可能性の高い外壁や廊下、階段などの部分に設置され、被害拡大を防ぐ役割を担います。  

 

代表的な例としては、防火戸や防火シャッター、防火ガラスなどが挙げられます。  

 

これらは火や煙を一定時間遮断できる性能を持ち、火災の「第一の防御壁」として建物全体の安全性を高めます。 

 

特定防火設備の定義と役割

特定防火設備は、防火設備の中でも特に高い性能を有するもので、国土交通大臣の認定を受けた製品を指します。

火災時に長時間、火や煙を遮断し、主要な防火区画を守るために用いられます。

代表的なものは、特定防火戸や、特定防火シャッターなどです。

 

特定防火設備は、通常の防火設備以上に厳しい基準をクリアしているため、建物全体の安全性を大きく高める役割を果たします。

 

防火設備と特定防火設備の違い

「防火設備」と「特定防火設備」は、その位置づけや必要とされる性能、さらには設置が必要とされる部分に違いがあります。

 

ここでは、防火設備と特定防火設備の具体的な違いを確認していきます。

防火設備 特定防火設備 違い

 

基準の違い

防火設備と特定防火設備は、製品の基準が大きく違います。

 

建築基準法において、防火設備は「火災による延焼を防ぐための開口部に設ける設備」と定義されています。

 

一方、特定防火設備はその中でも特に厳しい基準を満たす必要があり、国土交通大臣の認定を受けた製品でなければ使用できません。

 

つまり、防火設備は一般的な防火戸やガラスなど幅広い種類を含むのに対し、特定防火設備は高性能かつ限定的な製品群という位置づけです。

 

耐火時間や性能の違い

防火設備と特定防火設備は、耐火時間や性能に違いがあります。

防火設備には、火や煙を一定時間遮断する性能が求められ、通常の防火設備は概ね20分程度の耐火時間を想定して設計されています。延焼を防ぐ「最初の防御」としての役割を担っているのです。

 

これに対して特定防火設備は、より高い耐火性能が要求され、60分〜120分以上の耐火時間に耐えられる仕様です。

特に高層の建物や延焼リスクの高い場所では、120分以上の製品も存在し、火災発生時には避難や消火活動の安全性を高める効果があります。

 

高温下でも変形や破損を起こしにくく、火災の拡大を防ぐ「強固な防御壁」として機能する点が、通常の防火設備との大きな違いです。

 

 

設置が必要となる場所の違い

防火設備と特定防火設備は、設置が必要となる場所が異なります。

防火設備は、建物の外壁に設けられた窓や扉などの開口部、あるいは廊下や階段など延焼の恐れがある部分に設置されます。

 

これにより、隣接建物や他の区画への火の広がりをできるだけ抑える仕組みです。

一方、特定防火設備も同じく開口部に設けられますが、対象となるのは建物の安全性に直結する重要な場所です。

 

たとえば、大規模商業施設で火災区画を仕切るシャッターや、病院やオフィスビルで主要な通路を守る防火戸などが挙げられます。

さらに、特定防火設備は60分〜120分以上の耐火性能を持ち、防火区画を確実に形成することで建物全体の安全を確保します。

 

 

設置場所に応じた設備の選択ポイント

防火設備 特定防火設備 違い

防火設備や特定防火設備は、建物の構造や利用目的、そして火災時に延焼が広がりやすい部分に応じて、適切な設備を選ぶ必要があります。

 

設置場所に合った設備を選ぶためのポイントとしては、以下のようなものが挙げられます。

 

  • 建物の構造や用途
  • 外壁や開口部の性能
  • 防火区画の形成
  • 避難経路の安全確保

 

各ポイントについて、簡単に説明します。

 

建物の構造や用途

建物の規模や用途によって、必要とされる防火性能は大きく変わります。

 

例えば、住宅であれば短時間の耐火時間でも被害拡大を抑えることが可能ですが、大規模な商業施設や病院では、より高い性能を持つ特定防火設備が不可欠です。

 

また、倉庫や工場など火気使用の多い建物では、国土交通大臣の認定を受けた製品を導入することで安全性を高める必要があります。

 

外壁や開口部の性能

火災は外部からも内部からも発生する可能性があります。

 

そのため、外壁に設けられる窓や扉などの開口部には、火や煙の侵入を防ぐ十分な性能を持つ防火設備が必要です。

 

延焼のリスクが高い部分には、通常の防火戸ではなく、より高い耐火性能を有する特定防火設備が選ばれるケースもあります。

 

特に高層建築物では、外壁の防火性が建物全体の安全性に直結するため注意が必要です。

 

防火区画の形成

防火区画は、建物内部を区切ることで火災の拡大を防ぐための仕組みです。

 

区画を適切に分け、火災発生時に避難経路を確保することで、被害を最小限に抑えるのを目的としています。

 

その際に使われる扉やシャッターは、区画を貫通する部分をしっかり遮断できる性能を備えていなければなりません。

 

防火区画を計画する段階で、設置する設備の基準や認定を確認することが重要です。

 

避難経路の安全確保

火災時には、煙や炎から利用者を守りつつ、速やかに避難できる経路を確保することが最優先です。

 

そのため、避難階段や主要な通路の出入口には、特定防火戸や特定防火シャッターが設けられるケースが多くあります。これにより、一定時間以上火災を遮断し、避難完了まで安全を保てます。

 

建物利用者の特性(高齢の方やお子さんが多い施設など)を踏まえて設備を選ぶことも、安全性を高める大切なポイントです。

 

防火設備と特定防火設備の適切な選択と設置を

防火設備 特定防火設備 違い

防火設備と特定防火設備の特徴や違いについてお話しました。

 

防火設備と特定防火設備は、どちらも火災による延焼を防ぎ、建物の安全を守るために重要な設備です。

 

防火設備と特定防火設備の違いを理解して、設置環境に合った設備を設置しましょう。

 

東報防災工業株式会社では、火災報知設備や防排煙設備、消火器など、多様な防災機器を取り扱っております。施設の防災対策において、最適な設備選定や設置のご提案も行っております。

 

防災に関するご相談やお見積りのご依頼は、お気軽にお問い合わせページよりご連絡ください。

 

お問い合わせはこちらから