火災通報装置は、火災発生時に重要な役割を果たす防災設備です。そんな火災通報装置の仕組みや活用方法を正しく理解しておくことで、災害時にも迅速な対応ができます。
本記事では、火災通報装置の仕組みや注意点を詳しく解説し、設置や点検の際に知っておきたいポイントなどをご紹介します。
火災通報装置とは、火災が発生した際にいち早く消防機関などへ自動通報できる設備です。
温度の急激な上昇や煙を検知すると、一定の基準を満たした信号を発し、速やかに消防機関へ通報します。また、火災通報装置の通報ボタンを押せば、手動での通報も可能です。
さらに、火災通報装置に建物の所在地などの情報を登録しておくと、消防機関に情報が転送されます。そのため、自ら119番に電話をかけて住所を伝える必要がないのです。
これにより、逃げ遅れるなどの事態を防ぎ、素早い対応が期待できます。
火災通報装置は、火災が発生したことを素早く検知し、消防機関へ自動的に通報するシステムです。火災通報装置の機能自体は理解していても、その仕組みまでは知らない方も多いのではないでしょうか。
火災通報装置の動作には、感知→警報→通報→対応という基本的な流れがあり、それぞれの段階で確実な機能が求められます。
ここでは、その仕組みについて詳しく解説します。
火災通報装置は、火災を検知するために自動火災報知設備と連携することが一般的です。
火災通報装置を単体で使用する場合は、本体についているボタンを押して通報しますが、火災通報装置と自動火災報知設備と連携することで、感知器や受信器によって火災の発生を感知し、自動的に通報できる仕組みです。
火災の発生を感知する感知器には、以下のような種類があります。
各感知器の特徴を簡単に解説します。
熱感知器は、その名の通り熱を感知する感知器です。定温式スポット型・差動式スポット型・差動式分布型の3種類があります。
定温式スポット型感知器は、一定の温度に達すると作動し、ゆっくり温度が上がる火災にも対応でき、差動式スポット型感知器は、温度の急上昇を感知して警報を発し、初期火災の検知が速いのが特徴です。また、差動式分布型感知器は、広範囲の温度上昇を感知し、倉庫や地下駐車場などの大空間に適しています。
煙の粒子を検出し、火災の原因となる燃焼を素早く判断する感知器です。煙感知器の種類は、主に光電式スポット型感知器と光電式分離型感知器の2種類があります。どちらも光を利用した感知器で、煙の発生による光の乱れから感知する仕組みです。
一般的な住宅やオフィスなど、煙が発生しやすい場所に設置されることが多いです。
火炎が発する紫外線や赤外線の変化を感知し、火災をいち早く検出する装置です。燃焼が始まると瞬時に信号を発し、警報や消火設備の作動を促します。天井の高い映画館や体育館、工場といった場所で使用されることが多いです。
火災が感知されると次は警報が発せられます。警報は、建物の内部にいる人々へ避難を促す役割を果たします。警報は、信号音や音声によるアナウンスなどです。
警報は、音のほかにも光(フラッシュライト)で火災を知らせる種類もあります。
フラッシュライト式の警報は、聴覚障害のある方や、高齢の方にも分かりやすいよう、強い光の点滅で視覚的に火災を伝えるのが特徴です。
火災通報装置は、自動または手動で消防機関に通報します。
火災通報装置の通報の方法は、以下の2種類があります。
一つ目は、連動している機器が火災を感知した場合です。火災通報装置が自動火災報知設備と連携している場合は、感知器や受信器などの火災信号により、通報される仕組みとなっています。
この場合は、自動的に通報されるため、避難や初期消火などの対応に集中できます。
二つ目は、火災通報装置の通報ボタンを押すことです。火災通報装置の通報ボタンを押すと、消防機関へ自動的に通報されます。
このとき、あらかじめ自動通報装置に関係者の連絡先を登録しておくと、消防機関への通報に加えて、関係者にも連絡することができます。
火災通報装置で通報した後は、消防機関からの呼び返しがあるので、火災通報装置に付属されている受話器を取って応答します。
この消防機関からの呼び返しは、本当に火災が起きているのかを確認するためのものです。実際に火災が起きているかを確認して、不要な出動を防ぐために行われます。
また、呼び返しへの応答で火災の原因や被害の状況を伝えられるほか、消防による的確な避難指示なども受けられます。
しかし、火災発生時には避難や初期消火などを優先しなければならない場合もあるので、必ず呼び返しに応答しなければならないわけではありません。
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火災通報装置は、火災が発生した際に速やかに警報を発し、消防機関に自動通報する重要な設備です。適切な使用方法を理解しておくことで、緊急時に迅速な対応が可能になります。
火災通報装置の設置場所は、設置基準に従って慎重に選定する必要があります。
火災通報装置は、火災発生時にすぐに対応できるよう、常に人がいる場所に設置することが一般的です。
特に感知器は、キッチンや機械室といった温度の上昇が早い場所には、適切なセンサーを設置することが重要です。これにより、建物内の火災発生に迅速に対応できます。
火災通報装置が正常に作動するためには、定期的な点検が必要です。
内部のセンサー部分が汚れていたり、経年劣化により温度の感知が遅くなる場合があります。点検を怠ると、火災発生時に通報装置が適切に作動せず、火災が広がってしまう可能性もあります。
点検の際には、センサーの清掃や、警報の音量テストなどを行いましょう。なお、点検の際は自動火災報知設備との連動を一時的に停止する必要がありますが、点検後は必ず連動停止を解除しましょう。
火災通報装置が作動しない原因として、以下の点が挙げられます。
温度の上昇を感知するセンサーが故障している場合、火災発生時に反応しません。
センサーが適切な位置に設置されていない場合、温度上昇を早期に感知できません。
バッテリーが劣化すると、通報装置が作動しない可能性があります。
このような火災通報装置の不具合の対策としては、定期的な点検とメンテナンスが不可欠です。
火災通報装置の仕組みや使い方などについてお話しました。
火災通報装置は、住宅や建物における火災対策として非常に重要な役割を果たします。
適切な設置と定期的な点検を行い、確実に作動する状態を維持し、火災時の対応を万全にすることが必要です。
火災通報装置を適切に管理し、万が一の事態に備えて、安心して暮らせる環境を整えましょう。
東報防災工業株式会社では、火災報知設備や防排煙設備、消火器など、多様な防災機器を取り扱っております。施設の防災対策において、最適な設備選定や設置のご提案も行っております。
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