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火災通報装置の設置基準の改正内容は?注意点やポイントを解説

2025年07月11日

火災の早期発見と被害拡大の防止には、迅速な通報が不可欠です。その中でも重要な役割を果たすのが「火災通報装置」です。

 

近年、消防法の改正により、火災通報装置の設置基準が見直され、設置が必要な施設や設備の仕様に関して、新たなルールが加えられました。

 

この記事では、改正の背景や変更点、設置基準、注意すべきポイントをわかりやすく解説します。

 

火災通報装置とは

火災通報装置 設置基準 改正

火災通報装置とは、火災の発生を感知した際に、速やかに消防機関へ通報を行うための装置です。

 

主な目的は、火災による被害を最小限にとどめるために、初期段階で迅速な対応を可能にすることにあります。

 

多くの火災通報装置は、火災感知器や自動火災報知設備と連動して動作し、火災が検知された際には自動的に119番へ信号を送信します。

 

また、通報と同時に館内放送や非常ベルなどで人々に避難を促すシステムと連携しているケースもあり、施設全体の防災体制を支える中核的な役割を果たしているのです。

 

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改正された火災通報装置の設置基準とは

火災通報装置 設置基準 改正

火災による被害を軽減するには、法令に基づいた防災設備の適切な設置が欠かせません。

 

この章では、火災通報装置の設置に関する法律の改正の背景、そして改正後の変更点について解説します。

 

改正の背景と目的

火災通報装置の設置基準などが改正された背景には、IP電話や光回線の普及の影響で、従来のように確実な通報が困難になるケースが増えていることがあります。

 

これらの回線は停電時に機能しない場合があり、火災発生時に通報が行えないリスクが懸念されていました。

 

加えて、宿泊施設や福祉施設などで痛ましい火災事故が相次ぎ、多くの人命が失われたことも影響しています。

 

こうした現実を受け、火災時に確実な通報が行える体制の整備が急務となり、設置基準などの見直しが行われたのです。

 

改正後の変更点

今回の消防法改正では、以下のような点が変更になっています。

 

  • 設置が義務化された施設の追加
  • 自動火災報知設備との連動義務化
  • 待機時間を5秒から10秒へ延長
  • 電話回線との接続方法
  • より確実な電源供給

 

変更点をそれぞれ簡単に説明します。

 

設置が義務化された施設の追加

これまで火災通報装置の設置が義務付けられていなかった施設での設置が義務化されました。具体的には、病院・診療所・助産所・養護老人ホームなどです。

 

これらの施設では、延床面積に関係なく、必ず設置することになっています。

 

自動火災報知設備との連動義務化

火災通報装置は、自動火災報知設備の感知器の作動との連動が義務化されました。

 

この連動機能により、感知・報知・通報の一連の流れが自動化され、人的ミスを防ぐことが可能です。

 

※ただし、自動火災報知設備の受信機と火災通報装置が、常時人が在室する防災センター内に設置されている場合には、この要件は適用されないとされています。

 

呼び返し信号の待機時間の延長

火災通報装置から情報を送信した後と、消防機関からの呼び返し信号に対する待機時間の両方が、どちらも5秒から10秒に延長しました。これにより、信号のバッティングなどが発生し、通話ができないという事態を防ぐことができます。

 

電話回線との接続方法

火災通報装置の設置に関する改正により、電話回線との接続方法についても基準が見直されました。

 

まず、通報機能に支障をきたさない信頼性の高い電話回線を使用することが求められています。また、必要に応じて回線終端装置などを介して接続すると、他の通信機器の影響を受けず、火災通報装置が正常に作動するようにすることが定められました。

 

より確実な電源供給

火災通報装置の基準改正では、IP電話などの通信機器にも確実な電源供給が求められています。

 

まず、回線終端装置(例:ONU)には予備電源の確保が必要です。また、常用電源を使用する際は、途中に開閉器を設けないなど、電源遮断を防ぐ設計が求められています。

 

さらに、分電盤には、該当回線が火災通報装置用であることを明記するよう義務づけられています。

 

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設置の注意点とポイント

火災通報装置 設置基準 改正

火災通報装置の設置には、以下の重要な注意点とポイントがあります。各項目をしっかり確認し、適切に設置しましょう。

 

自動火災報知設備との連動

火災通報装置は、自動火災報知設備(自火報)と連動して確実に作動させる必要があります。

 

受信機からの信号をもとに、即座に消防機関に通報が行える構成であることを確認しましょう。

 

連動に不具合があると、発報しても消防に届かない恐れがあるため、設置後の動作確認が重要です。

 

設置対象施設の確認

今回の改正では、病院や診療所、福祉施設など、さまざまな人が利用する施設の火災通報装置設置が特に重要視されています。

 

施設の用途や規模によって、設置義務の有無や基準が異なるため、関係する別表(消防法施行規則)を確認することが大切です。

 

また、既存施設でも改修や用途変更の際には、新基準が適用される可能性があります。早めの確認と対応を心がけましょう。

 

電源設備の信頼性確保

常用電源だけでなく、停電時の予備電源(例:予備電源〈密閉型蓄電池など〉)の設置が義務づけられています。

 

予備電源は、60分の待機状態の後、10分以上通報が継続できる容量が必要です。

 

また、主電源から予備電源への自動切り替え機能も必要とされます。

 

分電盤や回線終端装置の配線には、切断を避けるための設計配慮が求められます。定期点検でバッテリーの劣化や異常も確認しましょう。

 

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改正後の火災通報装置の設置基準で正しく設置しよう

火災通報装置の改正された設置基準や、設置時のポイントについて解説しました。

 

火災通報装置は、火災発生時に迅速かつ確実に消防機関へ通報するために欠かせない設備です。

 

建物を利用する人の安全を守るためには、基準を満たした適切な設備の導入と運用が必要不可欠です。

 

設置・管理にあたっては、最新の改正内容を正確に把握し、専門業者と連携して確実な防災体制を整えましょう。

 

東報防災工業株式会社では、火災報知設備や防排煙設備、消火器など、多様な防災機器を取り扱っております。施設の防災対策において、最適な設備選定や設置のご提案も行っております。

 

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