火災は突然発生し、わずかな遅れが大きな被害につながることがあります。そのため、火災発生時に迅速に消防機関へ通報する「火災通報装置」の設置は、建物の安全対策として非常に重要です。
本記事では、火災通報装置の設置基準や設置が免除となるケース、正しく活用するためのポイントについて解説します。火災から人命や財産を守るために、ぜひ最後までご覧ください。
火災通報装置とは、火災が発生した際に迅速に消防機関へ通報するための設備です。基本的には、火災受信盤と連動して作動する仕組みになっています。
火災通報装置は、煙や熱で火災を感知すると自動的に通報し、あらかじめ登録しておいた施設の住所などの情報を知らせることができます。これにより、初期対応の遅れを防ぎ、被害を最小限に抑えることが可能です。
特に、旅館や病院、福祉施設などでは、基準を守って適切に設置しましょう。
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火災通報装置は、消防法に基づき特定の建物への設置が義務付けられています。ここでは、すべての対象施設に必ず設置が必要な建物と、延べ面積によって設置義務が生じる建物に分けて解説します。
以下の建物では、延べ面積に関係なく、火災通報装置を設置しなければなりません。
旅館・ホテル・簡易宿泊所、病院・診療所・高齢者福祉施設は、火災発生時の迅速な対応が求められるため、火災通報装置の設置が義務付けられています。
判断の基準として、宿泊を伴う施設は火災通報装置の設置が必須だと考えると、分かりやすいです。
就寝中の火災は発見が遅れやすいため、早期通報が被害を最小限に抑える鍵となります。
次の建物では、一定の延べ面積を超える場合に火災通報装置の設置が義務付けられます。
これらの建物では、不特定多数の人が出入りするため、一定の規模を超えると防火対策の一環として、火災通報装置の設置が義務付けられています。
しかし、お住いの市町村によっては、より厳格な設置基準を定めている場合があります。設置に迷ったら、所轄の消防署など専門家に問い合わせるのが確実です。
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火災通報装置の設置義務は消防法や建築基準法に基づいて定められていますが、特定の基準を満たす場合には設置が免除されることがあります。本章では、代表的な免除ケースについて解説します。
設置が免除となるのは、以下のようなケースです。
各ケースについて解説します。
施設が消防署から500m以内にある場合、火災通報装置の設置が免除されることがあります。これは、消防署が近いと、火災が発生した際に迅速な通報と対応が可能であると判断されるためです。
火災の発見が遅れた場合でも、消防隊が素早く駆けつけることができるため、専用の通報装置がなくても安全性が確保しやすくなります。
ただし、施設が消防署から500m以内であっても、避難に介助を要する人が利用している病院や診療所の場合は、火災通報装置の設置が義務となっています。
施設が消防署から10km以上離れた場所にある場合も、火災通報装置の設置が免除される場合があります。
これは、消防署までの距離が遠いと、火災通報装置による通報が行われても出動に時間を要するため、設置義務が緩和されることがあるのです。
しかし、こうした地域では自主的な防火対策が重要であり、消火設備の強化や早期避難のための準備を整えましょう。
小規模施設かつ、一般電話機を設置している場合は、火災通報装置の設置を免除される場合があります。小規模施設とは、宿泊室数が少ない診療所、病床数が少ない診療所、通院のみのクリニックなどが当てはまります。
一方、免除の対象にならない施設は、旅館(ホテル)・病院・福祉施設などです。
また、一般電話機とありますが、IP電話や光回線を利用した電話・携帯電話・公衆電話回線は、逆信(消防機関からの折り返し通話)ができないため、代替手段として認められていません。
※具体的な免除の可否は施設の用途や規模、地域ごとの消防法令により異なるため、事前に所轄の消防機関へ確認することが重要です。
火災通報装置は、適切に設置・運用されてこそ、その機能を最大限に発揮します。不適切な設置や管理不足が原因で、緊急時に正常に作動しないケースもあります。そのため、設置時のポイントをしっかり押さえておくことが重要です。
ここでは、火災通報装置を効果的に活用するための設置のポイントについて、詳しく解説します。
火災通報装置は、迅速に操作できる場所に設置することが重要です。特に、出入口や避難経路の近く、管理室や防災センター内などが推奨されています。常に人がいる場所に配置することで、火災発生時の即時対応が可能になります。
また、誤報やいたずらを防ぐために適切な位置に設置し、関係者以外が不用意に操作できないようにする工夫も必要です。建物の構造や利用者の動線を考慮し、最適な設置場所を選定しましょう。
火災通報装置は、自動火災報知設備と連動させることで、より迅速な避難誘導が可能になります。例えば、火災報知機が作動すると、火災通報装置が自動的に消防機関へ通報する仕組みを構築すると、被害の拡大を防ぐことができます。
消防法に基づいた適切な設備配置を行い、確実に機能するシステムを整備するのが重要です。
火災通報装置は、いざという時、確実に作動することが重要なため、定期的な点検やメンテナンスが不可欠です。
消防法では、6カ月ごとに外観点検、1年ごとに総合・機能点検が義務付けられており、点検結果は所轄の消防機関へ報告する必要があります。また、誤作動の原因となるホコリの蓄積などにも注意し、日常的な確認を徹底しましょう。
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火災通報装置の設置基準や正しく活用するためのポイントなどをお話しました。適切な設置基準を理解し、法令に基づいた対応を行うことで、施設の安全性を高められます。
また、設置免除の基準を正しく把握し、必要な設備を整えることが求められます。火災発生時に迅速な対応ができるよう、定期的な点検やメンテナンスを行い、常に確実に作動する状態を維持しましょう。
東報防災工業株式会社では、火災報知設備や防排煙設備、消火器など、多様な防災機器を取り扱っております。施設の防災対策において、最適な設備選定や設置のご提案も行っております。
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