火災通報装置は、火災時に消防機関へ迅速に通報を行うための重要な防災設備です。しかし、火災通報装置は、まれに逆信できない事象が起きることがあります。
通報後に「逆信」が届かない場合、消防機関とスムーズに連絡が取れず、消防車の到着が遅れるなどの影響につながる可能性があります。
本記事では、逆信できない主な原因とその対処法を解説し、関連する誘導灯や避難通路の安全確保についても触れながら、防災対策のポイントを詳しくご紹介します。
火災通報装置は、火災が発生した際に、いち早く関係者や消防へ異常を知らせる装置です。避難をスムーズに進めるためにも、各施設には消防法に基づいた設置が義務付けられています。
火災通報装置は、火災が発生した際にあらかじめ登録しておいた所在地などを、速やかに消防機関へ通報するための重要な設備です。
火災を感知するとアラームや警報音で周囲へ知らせると同時に、専用の回線を通じて自動的に通報を行います。
これにより、迅速な消防活動を可能にし、火災被害を最小限に抑えることが期待されます。
火災通報装置の逆信とは、火災通報装置を通じて発信された火災通報に対し、消防機関が通報元に折り返し電話をかける仕組みを指します。
逆信を受けることによって、通報内容の正確性を確認し、誤通報を防ぐことが可能です。消防機関の逆信が速やかに行われることで、迅速な出動や適切な避難誘導が可能になり、防災体制の信頼性を高めることができます。
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火災通報装置は、設置環境や回線の状況によっては、不具合が発生し、消防機関からの逆信がこない場合があります。
特に、電話回線の種類や装置の型式に関連する問題は見逃されがちです。本章では、こうした不具合が発生する具体的な条件とその確認方法について解説します。
逆信できない原因としては、以下のような場合が考えられます。
それぞれの原因とその確認方法について解説します。
逆信できない原因として、火災通報装置が誤作動を起こしている可能性もあります。
火災通報装置が誤作動を起こしている場合、消防機関に正しい信号が届かず、逆信が行われないことがあります。誤作動は、本体やパネルの不具合が原因となることが多いです。
確認方法
逆信できない原因として、電話回線に何らかの不具合が起きている可能性もあります。
火災通報装置は電話回線を利用して消防機関に通報を送る仕組みです。回線の断線や通信障害があると、通報そのものが届かない場合があります。
確認方法
逆信できない原因として、火災通報装置の登録情報に誤りがある可能性もあります。
火災通報装置の設置時に消防機関へ登録した情報(施設の名称、住所、電話番号など)が誤っている場合、逆信が正しく行われないことがあります。
確認方法
近年、固定電話網がIP(インターネットプロトコル)網に移行する動きが進んでいます。この変更により、火災通報装置が従来のアナログ電話回線と同じように動作しなくなるケースが出てきました。特に古い型式の火災通報装置では、IP網との互換性が確保されていない場合があります。
中でも、以下の3つの条件に該当する場合、不具合が発生する可能性が高いです。
NTT固定電話で「ナンバー・ディスプレイ契約」、モデムダイヤルイン契約、またはPBダイヤルイン契約を利用している。
確認方法
契約中の電話サービス内容を確認し、火災通報装置との互換性について、設置業者やNTTに問い合わせます。
火災通報装置と上記契約の固定電話が、同じ回線を使用している。
確認方法
回線構成を調べ、火災通報装置専用の回線が確保されているか確認します。必要に応じて専用回線を設置します。
古い型式や特定の機種で、特定の電話回線と相性が悪い場合がある。
確認方法
使用中の装置の型式を確認し、設置業者または製造元に互換性を確認します。不適合の場合は、消防法に基づく最新型への交換を検討します。
以下のページでは、不具合が起きる可能性のある火災通報装置を一覧で紹介していますので、お使いの火災通報装置が該当するかどうか確認してみてください。
火災通報装置が逆信できない場合、その原因によって適切な対処法が異なります。本章では、具体的な原因に対応する解決策を詳しく解説します。施設の防災設備を円滑に機能させるためにも、以下の内容を参考に迅速な対応を心がけましょう。
誤作動によって正確な信号が送信されない場合、装置の修理や交換が必要になることがあります。
エラーコードの確認
パネルに表示されているエラーコードを確認し、設置業者やメーカーに連絡して修理を依頼します。
破損箇所の修理・交換
本体やパネル、配線に物理的な損傷が見つかった場合は、速やかに交換または修理を実施します。
火災通報装置の正常動作には、電話回線が重要です。回線不良の場合、原因を特定して適切に対処します。
施設内の電話の動作確認
施設内の他の電話機で発信テストを行い、回線が正常か確認します。
専門業者への点検依頼
回線の物理的な断線や通信障害が疑われる場合、通信事業者や専門業者に回線点検を依頼します。
消防機関に登録された情報に誤りがあると、逆信が適切に行われません。登録内容を正確に保つことが重要です。
登録情報の確認と更新
消防機関に直接連絡し、施設の名称や住所、電話番号が正しく登録されているか確認します。登録内容を変更する場合は、NTTの固定電話からは『116』へ、それ以外の電話からは『0120‐116‐000』へ発信してください。不備があった場合は、速やかに更新を依頼してください。
設置業者への相談
火災通報装置の設置業者に登録内容を確認してもらい、必要に応じて修正を依頼します。
IP網への移行に伴い、従来のアナログ回線に対応していた火災通報装置が正常に動作しない場合があります。
装置の互換性確認
使用中の火災通報装置がIP網に対応しているか確認します。対応していない場合、メーカーや設置業者に相談し、対応機種への交換を検討します。
専用アダプタの導入
一部の装置では、IP網に対応するアダプターを設置することで問題が解決する場合があります。
火災通報装置が逆信できない理由についてお話しました。
火災通報装置の逆信ができない原因には、誤作動やIP網移行による不具合などがあります。
これらの問題を放置すると、火災時に迅速な避難や消防機関からの対応が遅れる危険性があります。
防災設備全体を再確認し、安心して利用できる環境を維持してください。
東報防災工業株式会社では、火災報知設備や防排煙設備、消火器など、多様な防災機器を取り扱っております。施設の防災対策において、最適な設備選定や設置のご提案も行っております。
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