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避難器具を11階以上では設置できない?種類や設置基準を解説!

2025年05月26日

高層建築物が増える現代において、火災や災害時の課題は安全に避難できるかです。そうした高層の建物で安全に避難するためには、正しい避難器具の設置や使用が重要となっています。

 

本記事では、避難器具の必要性を解説するとともに、11階以上の高層の建物における避難器具の設置基準などについて紹介します。

 

適切な避難設備の設置基準を理解し、万が一の事態に備えましょう。

 

避難器具とは

避難器具 11階以上

避難器具とは、火災や地震などの災害時に、安全に避難するために使用される設備です。建物の構造や階数に応じて適切な避難器具が設置され、迅速な避難を可能にします。

避難器具の種類には、避難はしご・救助袋・避難ロープ・緩降機などがあり、これらは消防法に基づいて設置が義務付けられています。

避難器具の設置が必要な理由は、火災などで通常の避難経路が使用できなくなる可能性があるためです。また、避難器具は自力で避難できない人々をサポートする役割も担い、迅速かつ安全に避難できるようにします。

 

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11階以上での避難器具設置基準

避難器具 11階以上

11階以上の高層ビルでは、火災時の迅速かつ安全な避難が重要です。11階以上での避難器具の設置義務の有無や、設置が必要な設備などを解説します。

 

11階以上は避難器具の設置義務がない

消防法および建築基準法において、11階以上の建物には一般的な避難器具(避難はしごや救助袋など)の設置義務がありません。

 

これは、11階以上の高層階では避難器具の使用が現実的ではなく、安全性の確保が困難だからです。特に、避難はしごや救助袋は一定の高さを超えると設置が難しく、避難時の安全性にも懸念が生じます。

 

また、消防のはしご車は最大で30m(おおよそ10階程度)までしか届かず、それ以上の高さでは直接の救助が困難です。

 

そのため、11階以上の建物では、避難器具ではなく他の設備を整えることで、火災時の安全対策を強化する仕組みとなっています。

 

11階以上で設置義務がある設備

11階以上では避難器具の設置義務はありませんが、その代わりに防火設備の設置が義務となっています。具体的に、11階以上の高層建築物で設置が義務化されているのは、下のような設備です。


  • 自動火災報知設備
  • 非常コンセント設備
  • 誘導灯
  • 消火器
  • スプリンクラー設備

 

各設備について、簡単に解説します。

 

自動火災報知設備

自動火災報知設備は、火災の発生を早期に検知し、建物内に警報を発する設備です。

 

煙や熱を感知すると自動で警報ベルが鳴り、建物内の人々に火災を知らせて避難を促します。

 

消防法により、一定規模以上の建物では設置が義務付けられており、11階以上の建物でも重要な役割を果たします。

 

非常コンセント設備

非常コンセント設備は、消防隊が建物内で消火活動を行う際に使用する専用の電源設備です。停電時でも非常用発電機や蓄電池から電力を供給できるため、火災発生時でも安定した電源確保が可能です。

 

特に11階以上の高層建物や、火災時に逃げ場の少ない地階では、迅速で確実な消火活動を助ける目的で、非常コンセントの設置が義務付けられています。

 

誘導灯

誘導灯は、火災や停電などの非常時に、人々を安全に避難させるための避難経路を示す照明設備です。

 

通常は避難口、廊下、階段、非常扉付近などに設置され、停電が発生した場合でも、内蔵バッテリーによって自動的に点灯します。

 

消防法により一定の建物には設置が義務付けられており、「通路誘導灯」「出口誘導灯」「階段誘導灯」など、設置場所や用途に応じて分類されます。

 

消火器

消火器は、初期火災を素早く消火するための最も基本的な防災設備です。消防法により、11階以上の高層建物に限らず、階数を問わず各階での設置が義務付けられています。

 

設置の目的は、火災の拡大を防ぐことにあります。消火器には、粉末・泡・二酸化炭素など、火災の種類や建物の用途に応じた多様な種類が存在し、それぞれの特性に応じた配置が必要です。

 

スプリンクラー設備

11階以上では、火災の早期発見と初期消火を目的として、スプリンクラー設備の設置が義務付けられています。これにより、避難器具のない場所でも火災発生時に速やかに消火を図れます。

ただし、一定の条件を満たす場合には、スプリンクラー設備の設置が免除されることがあるので、設置の際は必ず確認しましょう。

 

※スプリンクラー設備の設置免除の条件

  • 内装制限の適用:建物内部の壁や天井を準不燃材料で仕上げることで、火災の拡大リスクが低減され、スプリンクラーの設置が不要となる場合があります。

  • 防火区画の確保:耐火性の高い壁や床で適切に区画し、火災の延焼を抑制できる場合には、スプリンクラーの設置義務が軽減される場合があります。

  • 特定の用途や規模の制限:共同住宅などでは、スプリンクラー設備の一部設置が認められるケースがあり、特定の条件を満たすことで全体設置が免除される場合もあります。

これらの免除要件を適用する場合でも、建物の安全性を確保するために、屋内消火栓の設置や定期的な消防設備の点検が必要となります。

スプリンクラーの設置が免除されるケースでも、火災対策の強化は不可欠です。

 

避難器具を正しく使うためのポイント

避難器具 11階以上

11階以上の高層の建物では、火災や災害時に安全に避難するために、自動火災報知設備やスプリンクラーといった設備が必要です。本章では、これらの設備を正しく設置し維持するためのポイントをご紹介します。

 

適切な訓練と周知

設備を正しく使用するためには、訓練と周知が重要です。例えば、消火器やスプリンクラー設備の使用方法、避難経路に設置された誘導灯の利用方法を定期的に訓練する必要があります。

 

従業員や居住者に、災害時の設備の使い方をしっかりと周知し、非常時には冷静に行動できるように準備をします。訓練を通じて、全員が設備の使い方に自信を持てるようにすることが重要です。

 

品質と耐久性の確認

設備を安全に使用するためには、設備の品質と耐久性を確認するのも重要です。

 

例えば、消火器やスプリンクラー設備は火災時に使用されるため、耐火性や耐久性に優れた製品を選びましょう。

 

設備の品質が信頼できることや、定められた耐荷重や耐火性能を満たしていることを確認し、必要に応じて交換や修理を行います。

 

定期的な点検とメンテナンス

全ての設備は定期的な点検とメンテナンスが不可欠です。

 

自動火災報知設備やスプリンクラー、消火器や誘導灯、非常コンセント設備などは、機能が正常であるかを確認するために定期的に点検を行い、故障や劣化がないかチェックします。

 

点検記録を保持し、異常があれば即座に対応することが大切です。

 

11階以上でも有効な避難器具や防火設備の使用を

避難器具 11階以上

避難器具や防火設備は、火災や災害時に安全に避難するために不可欠な設備です。11階以上の高層階での設置は義務付けられていませんが、スプリンクラーなどの防火設備の設置が義務となっています。

 

防火設備や建物全体の防災対策を理解し、災害時に迅速かつ安全に避難できる環境を整えることが大切です。また、万が一に備え、日頃から避難設備の確認や訓練を行いましょう。

 

東報防災工業株式会社では、火災報知設備や防排煙設備、消火器など、多様な防災機器を取り扱っております。施設の防災対策において、最適な設備選定や設置のご提案も行っております。

 

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