避難器具の設置について調べていると、「10人程度なら設置しなくてもよいのでは?」と感じることがあるかもしれません。
とくに小規模な飲食店や事務所、限られた人数で利用する建築物では、判断に迷いやすいポイントです。
本記事では、避難器具の種類や設置基準の考え方などについて解説します。
避難器具とは、火災などの非常時に、建築物内にいる人が安全に屋外へ脱出するために使用される設備を指します。
煙や炎によって通常の通路が使えなくなった場合でも、別の避難手段を確保できる点が大きな役割です。
階段や廊下といった常設の避難経路だけでは対応しきれない状況を想定し、補助的に機能することが目的とされています。
とくに高所や閉鎖的な空間では、迅速な避難行動を支える重要な存在となります。
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避難器具の設置基準は、消防法に基づき、建築物の状況を総合的に見て判断されます。ここでは、設置基準を決める際の要素を解説します。
建築物の用途は、避難器具の設置基準を考えるうえで非常に重要な要素です。
飲食店、ホテル、病院、工場など、用途によって利用者の年齢層や行動特性は大きく異なります。
短時間の利用が中心か、長時間滞在する場所かによっても、避難時の混乱の起こりやすさは変わります。
また、自力での避難が難しい人が利用する用途では、より安全性を重視した対策が必要です。
このように、用途ごとの特性を踏まえて避難器具の必要性が検討されます。
建築物が何階建てであるか、また対象となる部分がどの階に位置しているかも重要な判断材料です。
地上に近い階と、上階や地階とでは、外部へ避難するまでの条件が大きく異なります。高い位置にあるほど、地上へ直接移動することが難しくなる傾向があります。
一方、地階では煙が滞留しやすく、避難環境が厳しくなりやすい点が特徴です。こうした位置関係を踏まえ、避難手段の確保が検討されます。
建築物内に設けられている避難経路や階段の構造も、避難器具の設置基準に深く関係します。
特に、安全に外部へ誘導できる階段や通路が確保されているかどうかが重要です。
階段が存在していても、幅が狭い、経路が複雑といった理由で避難が円滑に行えない場合には、補助的な避難手段の必要性が高まります。
避難経路全体の安全性を確認したうえで、避難器具の設置を判断します。
建築物の構造や形状も、避難器具の設置を左右する要素の一つです。
窓やバルコニーの有無、外壁の位置関係によって、設置できる器具の種類が限られる場合があります。
また、鉄骨造や鉄筋コンクリート造など、構造の違いによって設置方法も変わります。
さらに、建築物の構造については、主要構造部が耐火構造であるかどうかなども、避難器具設置の判断材料のひとつです。
こうした構造的な特徴を踏まえ、避難器具の必要性や種類が検討されます。
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避難器具の設置基準は、建築物の用途や階数とともに、収容人員を起点として段階的に定められています。
ここでは、消防法令の考え方に沿って、人数ごとにどのような建築物・階が設置対象となるのかを整理します。
収容人員が10人以上となる場合、比較的早い段階から避難器具の設置対象となるケースがあります。
代表的なのが、一つの階段しか設けられていない建築物の3階以上の階です。この場合、原則として避難経路が限定されるため、避難器具による補完が求められます。
また、キャバレーや飲食店などの用途では、安全性への配慮から2階であっても対象となる点が特徴です。
さらに、ホテルや病院などでは、下階に特定用途がある場合に、地階や2階以上が設置対象となります。
収容人員が20人以上となる場合、病院や保育所などの用途では、避難器具の設置基準が定められています。
これらの用途では、地階や2階以上の階において、避難器具の設置対象となる区分が設定されています。
利用者の属性や行動能力を考慮する用途が含まれるため、収容人員の基準が比較的低い段階で設定されている点が特徴です。
収容人員が30人以上になると、ホテルや共同住宅などの用途でも設置対象が広がります。
地階や2階以上の階が基本的な対象となり、宿泊用途では、就寝中の避難が想定されるため、避難器具の必要性が高まります。
特に、複数の利用者が同時に避難する状況を想定した対策が求められます。
収容人員が50人以上となると、対象となる用途の範囲がさらに広がります。
劇場や物販店舗、学校などに該当する用途では、地階や2階以上の階が設置対象です。
ただし、耐火建築物の場合は、3階以上が対象となるなど、建築物の性能による違いもあります。
多くの人が一度に避難する状況を想定し、より高い安全性が求められる区分です。
収容人員が100人以上になると、工場や事務所などの用途も明確に設置対象となります。
具体的には、地階や3階以上の無窓階が対象です。
無窓階は煙や熱がこもりやすく、避難環境が厳しくなりやすい点が考慮されています。
そのため、人数が多い場合には、避難器具による補助的な避難手段が重要視されます。
建築物の構造と人数をあわせて確認しましょう。
収容人員が150人以上となると、工場や事務所の3階以上の有窓階も設置対象に含まれます。
窓がある階であっても、人数が多い場合は避難の集中や混雑が想定されるためです。
避難に時間がかかるリスクを減らす目的で、器具の設置が求められます。
大規模な建築物ほど、人数基準が厳しく適用される点が特徴です。
該当する場合は、設置する避難器具の種類や個数についても慎重な検討が必要となります。
参考:消防法施行令 別表第1
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避難器具を11階以上では設置できない?種類や設置基準を解説!
建物の収容人員は、実際に利用している人数ではなく、消防法施行規則第1条の3に基づき算定された数値を用います。
この算定結果は、避難器具の設置基準をはじめ、防災設備の必要性を判断する重要な指標です。
ここでは、東京消防庁が公表している「収容人員の算定要領」を参考に、人数が少なくなりやすい用途区分ごとに解説します。
小規模な飲食店は、遊技場に該当するかどうかによって、収容人員の算出方法が異なります。
【遊技場】
小規模な飲食店のうち遊技場に該当するものは、次に掲げる数を合算して算定します。
長いす式の座席については、当該いす席の正面幅を0.5メートルで除して得た数(1未満の端数は切り捨て)とします。
【その他のもの】
遊技場以外の小規模な飲食店は、次に掲げる数を合算して算定します。
固定式のいす席を設ける部分については、当該部分にあるいす席の数に対応する数とします。
その他の部分については、当該部分の床面積を3平方メートルで除して得た数とします。
小規模な物品販売店舗の収容人員は、次に掲げる数を合算して算定します。
飲食又は休憩の用に供する部分は、当該部分の床面積を3平方メートルで除して得た数とします。
その他の部分については、当該部分の床面積を4平方メートルで除して得た数とします。
小規模な診療所・クリニックの収容人員は、次に掲げる数を合算して算定します。
小規模な事務所の収容人員は、次に掲げる数を合算して算定します。
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避難器具の設置基準についてお話しました。
避難器具の設置基準は、単に「何人利用するか」だけで決まるものではありません。
収容人員とあわせて、建築物の用途や階数、地上・地階の別、避難経路の状況によっては設置が必要かどうかが決まってきます。
判断に迷う場合や用途変更を行う際は、自己判断せず、専門業者や消防へ相談しましょう。
東報防災工業株式会社では、火災報知設備や防排煙設備、消火器など、多様な防災機器を取り扱っております。施設の防災対策において、最適な設備選定や設置のご提案も行っております。
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