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データセンターに適した消火設備はどれ?選び方や特徴を解説

2025年07月21日

データセンターは、一般的な建物とは異なり、消火設備の選定に特別な配慮が必要です。

 

データセンターには、HDDやサーバーなどの精密機器が多数設置され、膨大な情報を管理しています。

 

本記事では、データセンターに適した消火設備の種類や特徴、そして選び方のポイントなどについて解説します。

 

これからデータセンターに消火設備を導入する方や見直しを検討している方は、参考にしてみてください。

 

データセンターに特化した消火設備が必要な理由

データセンター 消火設備

データセンターの火災対策には、精密機器を守る高度な消火システムが求められます。

 

ここでは、データセンターに特化した消火設備が必要な理由を解説します。

 

精密機器への影響が大きい

データセンターに特化した消火設備が必要な理由は、データセンターでは、消火設備による精密機器への影響が大きいからです。

 

従来の建物に多く採用されているスプリンクラーなどの水系消火設備は、データセンターのような電子機器密集空間には不向きです。

 

特にデータセンター内のHDDやサーバーは水分や湿気に弱く、消火後の水によって機器がショートしたり、データが消失したりするリスクが生じます。

 

したがって、データセンターでは、単に火を消せば良いというわけではなく、データ資産を保護する影響を最小限に抑える消火設備が求められます。

 

容易に稼働を止められない

データセンターに特化した消火設備が必要な理由は、簡単に稼働を止められないためです。

 

データセンター内のサーバーやネットワーク機器は、24時間365日絶え間なく運用され、企業活動・行政・金融・医療など、あらゆる分野の基盤を支えています。

 

そのため、火災によって一時的にでもシステムが停止すれば、その影響は経済的損失や信用低下につながりかねません。

 

データセンターでは、わずか数分のダウンタイムでも、大規模なトラブルに発展するおそれがあるため、火災発生時には迅速な消火が必須です。

 

人も設備も両方守らなければならない

データセンターでは、人命だけでなく、設備を守らなければいけないのも、データセンターに特化した消火設備が必要な理由のひとつです。

 

火災時に最も優先すべきは人命の安全ですが、データセンターではそれに加えて、HDDやサーバーといった機器の保護も重視されます。

 

最近の防災システムは、火を消すだけではなく、放出ガスの種類や噴射方法を工夫することで、人が避難可能な時間を確保しつつ、機器への影響を抑える設計が進んでいます。

 

こうした複合的な視点で設計された設備を導入することが、データセンターには欠かせません。

 

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データセンターで採用される消火設備の種類

データセンター 消火設備

データセンターでは、HDDやサーバーなどの精密機器を保護しながら、機器への影響を最小限に抑える消火設備が適しています。

 

ここでは、データセンターにおける代表的な消火設備とその特徴を解説します。

 

不活性ガス系消火システム

データセンターで採用されている不活性ガス系消火システムは、窒素や二酸化炭素などのガスを放出して、火災の燃焼を抑える仕組みです。

 

ガスは電気的に不活性で、化学反応を起こさないため、HDDや電子設備に影響を与える心配がほとんどありません。

 

また、消火剤が残留しないため、消火後の復旧作業も迅速に行えます。

 

さらに、ガス放出時に発生する音により、HDDが影響を受けるケースがあるため、静音形噴射ヘッドと併せて使用することもあります。

 

【ガス名】

IG-541

窒素・アルゴン・二酸化炭素の混合ガスです。人体に比較的安全で、放出後の清掃が不要なのが特徴です。

 

IG-100

窒素100%で構成されており、酸素濃度を下げて消火する仕組みです。自然界にある気体で環境負荷が少ないのも特徴です。サーバーへの影響がほぼないため、データセンターでも使用されています。

 

IG-55

窒素とアルゴンガスの混合物からできており、設備に優しく、人体にも比較的安全な構成です。Inergenの代替として注目されています。

 

ハロゲン化物系ガス消火設備

データセンターで採用されている、ハロゲン化物系ガスを使用する消火設備は、熱分解によって発生するラジカルを抑制し、火災の連鎖反応を断ち切る化学的な消火方法です。

 

放出時にガスが瞬時に空間を満たすため、火災初期段階での迅速な対応が可能です。そのため、サーバーのように連続稼働が求められる設備にも適しています。

 

設備の構成としては、専用ボンベ、配管、ノズル(ヘッド)などからなり、天井に組み込むケースが多いです。放射後のガスは短時間で拡散し、再充填や補充も容易な点がメリットです。

 

このタイプの消火設備は、かつて使用されていた「ハロン系消火剤」の代替として開発されたもので、環境負荷を軽減したガスが用いられています。

 

【ガス名】

HFC-227ea

化学反応で火を抑え、短時間で効果を発揮するのが特徴です。広く使われており、導入実績が豊富です。

 

FK-5-1-12

HFC-227eaと同様に短時間で消火できます。HFC-227eaに比べ、より環境への負荷が少ないのが特徴です。

 

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データセンターの消火設備の選び方のポイント

データセンター 消火設備

データセンターに設置する消火設備は、火災の早期対応だけでなく、精密機器や運用継続性への影響も最小限に抑えなければなりません。

 

ここでは、消火設備を選ぶ際に考慮すべきポイントをご紹介します。

 

注目すべきポイントには、以下のようなものがあります。

 

  • 消火設備の安全性
  • 初動スピード
  • 消火設備の拡張性
  • 消火後の復旧性

 

各ポイントを簡単に解説します。

 

消火設備の安全性

データセンターにおける消火設備を選ぶ際は、設備の安全性を確認しましょう。

 

HDDやサーバーなどの情報機器は、熱や湿気、振動に非常に敏感です。そのため、重要なのは、ヘッドからの噴射圧力やガスの温度にも十分配慮することです。

 

過度な噴射圧はHDD内部の構造やファン、ケーブル類に影響を及ぼす可能性があり、繊細な電子部品の物理的損傷を招くリスクがあります。

 

冷却力の強いガスや噴射速度の速いタイプは、内部の結露や温度差によるトラブルを引き起こすリスクがあります。

 

データセンターにおいては、消火能力だけでなく、放出時の圧力制御や温度安定性に優れた製品を選びましょう。

 

初動スピード

データセンターに設置する消火設備を選ぶ際は、初動スピードにも注目しましょう。

 

火災が発生した際、初動の速さが被害拡大を左右します。

 

特にデータセンターのように24時間連続稼働が求められる施設では、数秒の遅れが重大な障害につながるケースもあるのです。

 

また、区画単位で早期に検知・放出できる設備であれば、全体への影響も最小限に留めることが可能です。

 

消火設備の拡張性

データセンターに設置する消火設備を選ぶ際は、設備の拡張性も忘れてはいけません。

 

データセンターの設備は常に進化しており、サーバーラックの増設や機器構成の変更は日常的に発生する可能性があります。

 

そのため、消火設備も設置後に柔軟な区画調整やヘッドの追加が可能であることが重要です。

 

モジュール式や局所噴射型の消火設備であれば、運用を止めずに拡張できる点がメリットです。

 

拡張性を考慮せずに導入すると、数年後に多額の費用を要する再工事が必要になるリスクもあります。

 

消火後の復旧性

データセンターにおける消火設備は、消火後の復旧性も確認のうえ選びましょう。

 

消火剤の種類によっては、消火後に広範囲な清掃や機器交換が必要になることがあります。

 

特に粉末や水系の設備は、データセンター内のHDDや電源装置に深刻なダメージを与える恐れがあるため注意が必要です。

 

ガス系・不活性ガス系の設備であれば、放出後に残留物がなく、短時間で運用を再開できるという利点があります。

 

復旧の早さは、サービスの停止時間を短くする鍵となります。

 

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<h2>適切な消火設備設置で人命とデータを守ろう</h2>

データセンターに設置する消火設備の種類や選び方のポイントについて解説しました。

 

データセンターにおける消火設備の選定は、単なる防災対策にとどまらず、事業継続性や資産保護の観点から極めて重要です。

 

設備の導入に際しては、「安全性」「初動スピード」「拡張性」「復旧性」など多角的な視点から検討する必要があります。

 

適切なシステムを導入して、安定したITインフラの運用を支えましょう。

 

東報防災工業株式会社では、火災報知設備や防排煙設備、消火器など、多様な防災機器を取り扱っております。施設の防災対策において、最適な設備選定や設置のご提案も行っております。

 

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