火災時にいち早く異常を感知し、建物の安全を守るために欠かせないのが自動火災報知設備です。
しかし、自動火災報知設備にも寿命があり、長年使い続けると機能が低下したり、思わぬ誤作動につながる恐れがあります。
この記事では、自動火災報知設備の主要な機器ごとの耐用年数や、交換の目安について解説します。
自動火災報知設備を適切に管理するために、参考にしてみてください。
自動火災報知設備は、火災を早期に検知し、建物利用者へ警報を発する装置です。
感知器が熱や煙を捉え、信号を受信機に送信することで警報音が鳴る仕組みです。
また、利用者が火災を目撃した際に手動で押す発信機も備えられており、複数の機器が連動して働きます。
自動火災報知設備は消防法に基づいて設置が義務付けられている建物も多く、集合住宅や大型商業施設など幅広く導入されています。
自動火災報知設備は、適切に設置されることで、火災発生時に人的被害を最小限に抑える役割を担っているのです。
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自動火災報知設備は設置すれば良いと思われがちですが、実際には内部の劣化や規格の変化により、耐用年数を意識した更新が欠かせません。
自動火災報知設備の感知器は経年劣化によって火災を正しく検知できなくなる恐れがあり、受信機の故障は建物全体の警報システムを麻痺させます。
また、自動火災報知設備と他の防災設備との連動性を確保するためにも、古い機器を使い続けるのは危険です。
こうした理由から、耐用年数を守って自動火災報知設備の機器や部品を計画的に交換することが、安全とコスト管理の両面で推奨されます。
自動火災報知設備の耐用年数を調べる際、国税庁が定める「法定耐用年数」を目にするかもしれません。
これは税務上の減価償却計算に用いるための年数であり、実際の自動火災報知設備の寿命とは異なります。
法定耐用年数は、あくまで会計処理のためのルールです。
一方で、メーカーなどが示す「推奨交換時期」は、設備が安全に機能し続けるために推奨される期間を指します。
いざという時にも自動火災報知設備を適切に動作させるために、法定耐用年数ではなく、推奨交換時期を守りましょう。
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自動火災報知設備は複数の機器が連動して働くため、どれか一つでも劣化すると全体の機能に影響を及ぼします。
そこで重要になるのが、自動火災報知設備の主要機器ごとに定められた耐用年数を把握し、適切な交換時期を見極めることです。
ここでは、自動火災報知設備の主要機器の耐用年数と、自動火災報知設備に使用されている寿命部品の交換推奨年数についてお話します。
自動火災報知設備の主要機器別の耐用年数は、以下のようになっています。
自動火災報知設備を構成する受信機や感知器、発信機などは、それぞれに推奨される耐用年数があります。
これらの機器は外見上は問題がなくても、内部の電子部品や半導体の劣化によって正しく作動しなくなるリスクがあるのです。
この耐用年数を参考にすることで、火災時に確実に警報を発する機能を維持できます。
自動火災報知設備に使用されている寿命部品の定期交換の推奨年数は、以下のようになっています。
自動火災報知設備には、電源や蓄電池、ディスプレイなど寿命の短い部品も多く含まれています。
これらはシステム全体の動作を支える重要な部分であり、故障すれば自動火災報知設備全体が停止してしまう可能性があるのです。
特に電源ユニットやバッテリーは、経年劣化により性能が大きく低下しやすく、定期交換が推奨されています。
設備の信頼性を維持するためには、主要機器だけでなく部品レベルでの交換計画も欠かせません。
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自動火災報知設備の交換時期を判断する際は、耐用年数を目安にするのはもちろん、複数の要素を総合的に考慮することも必要です。
自動火災報知設備の設置年数と同時に、以下のポイントを参考にしてください。
各ポイントについて、簡単にお話します。
最も明確な自動火災報知設備の交換サインは、設備に異常表示が出たり、実際に作動不良が発生したりする場合です。
自動火災報知設備の受信機のランプが点滅している、発信機を押しても反応しない、感知器が頻繁に誤作動を起こすといった症状は、自動火災報知設備の部品に致命的な問題が起きている可能性があります。
このような場合は、年数に関わらず専門業者に自動火災報知設備の点検を依頼し、必要に応じて交換しましょう。
専門業者による自動火災報知設備の定期点検の結果も重要な判断材料です。
消防法で義務付けられている点検では、感知器の感度や受信機の機能、配線の状態などを詳細にチェックします。
点検時に半導体や電子機器の劣化や不具合が指摘された場合は、耐用年数に達していなくても交換を検討しましょう。
自動火災報知設備は、受信機や感知器といった個々の機器だけでなく、配線なども含めたシステム全体として機能します。
建物自体の老朽化や、過去の改修履歴なども考慮し、システム全体として見た交換の必要性を判断することが大切です。
自動火災報知設備の一部の部品だけを交換しても、他の箇所に不具合が出れば、全体の信頼性は保てません。
これらの要素を総合的に判断し、計画的な設備の更新を進めることが重要です。
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自動火災報知設備は、火災時の被害を最小限に抑えるための大切な防災設備です。
しかし、自動火災報知設備の感知器や受信機などの主要機器には寿命があり、耐用年数を超えると本来の機能を果たせなくなる可能性があります。
自動火災報知設備は、電源を入れ続けなければ使用できない設備であり、年月の経過とともに確実に劣化していくのです。
定期的な点検と目安となる耐用年数を確認し、建物を安全に管理・運営をしましょう。
東報防災工業株式会社では、火災報知設備や防排煙設備、消火器など、多様な防災機器を取り扱っております。施設の防災対策において、最適な設備選定や設置のご提案も行っております。
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